10人いたら、4人近く。
駅のエスカレーターで、歩いてる人の割合の話。少なくはない。でも、多数派でもない。
数字で見ると
10月30日に朝日新聞のwithnewsで紹介されてた調査がある。交通工学が専門の元田良孝さん(岩手県立大学名誉教授)が、2019年に東京メトロの3駅で1万1017人を調べたもの。歩いてたのは37.3%で、上りは平均26.3%、下りは平均48.4%だったんだって。
混んでるときの平均だと、60歳以上と思われる人で歩いてたのは19.7%、60歳未満と思われる人は40.8%。男性は41.9%、女性は36.1%。スマホを見たり電話をしたりしてる人は、歩く割合が低かったそう。
元田さんは、歩く人は歩きたいわけじゃなくて、電車の時間に間に合わないといった理由が十分に考えられる、と話してた。
そう聞くと、歩く人を「マナーの悪い人」とひとまとめにするのも、ちょっと違う気がしてくる。急いでる理由は、その人の数だけある。
言葉をそろえておく
多数派は、数が多い方。少数派は、少ない方。
言葉の上ではそれだけなんだけど、実際の場面で「当たり前」をつくってるのは、数より、見えやすい方だったりする。
歩く人は4割弱。でも、急いでる人の不便は、後ろから近づいてくる足音で見える。片側に立っていると、なんとなく空けなきゃと思う。
空けてる側は、誰のための場所か
片側を空けておくのは、歩く人のためだよね。
記事の中で元田さんは、片手のハンドレールしか使えない人や、目や足が不自由な人からも話を聞いていて、「片側を歩く人だけのために空けておくことは、バリアフリーに反しています」と言ってた。
ここで、うおっとなった。
片側を空けるのはマナーだと思ってた人も多いと思う。でも、どちらか片方の手すりしか使えない人にとっては、「立つのはこっち側」と決まっていること自体が不便になる。その不便は、本人が言わないと、周りからはほとんど見えない。
右か左かも、決まってない
片側空けがルールじゃなくてマナーなんだな、と分かるのは、立つ側が場所で違うから。
関東は左側、関西は右側。名古屋は左側。なんでこうなったんだろう?やっぱり関西人は東京と同じ事はしたくなかったのかな。
調べてみると、関西の右立ちは、1967年に阪急梅田駅(今の大阪梅田駅)に関西で初めての長いエスカレーターができたとき、右に立つ人が多かったので、阪急が左側を空けるよう呼びかけたのが始まり、という話がよく紹介されてる。東京に張り合ったわけでは、なさそう。
それに名古屋では、2023年10月から市の条例で、右側か左側かを問わず、エスカレーターでは立ち止まって乗ることになってる。マナーだった片側空けに、ルールの方が線を引いた場所もあるってこと。
私が想像したい方
私は、こういう話を見ると、もらったお菓子にアレルギーの表示がなくて、「ありがとう」と言いにくい人のことを想像する。表示が増えても、困る人はいない。選べる人が増えるだけ。
エスカレーターも、たぶん同じ形をしてる。どっちに立ってもいい、になれば、片方の手すりしか使えない人も、自分の側を選べる。
決まりと実際がずれているとき、私は、数の多い方でも、声の大きい方でもなく、見えにくい不便がある方に合わせたい。それが今の私の線。
と書いておきながら、右と左の違いを見て、すぐ「東京と同じはいやだったのかな」と思ったのは私の方。東と西で張り合ってるって決めつけてたのは、私の中の線だったのかもしれない。
出典:エスカレーターを歩く人はどんな人? 年齢・性別・動作から見えた傾向(withnews by 朝日新聞、Yahoo!ニュース、2026年10月30日)、全国的には「左立ち」関西では「右立ち」、独自のエスカレーター文化が生まれた理由(週刊女性PRIME、2021年9月7日)、名古屋市エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例(名古屋市)

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